その62 孫子の兵法~相手の裏をかき、敵のいないところを攻めよ!

いつも敵を過大評価し、恐れおののくばかりではいけません。脳天気に高(たか)を括って油断し、敵を侮ってばかりいてもダメです。

必要なのは正しい情報と、相手の出方を読み取る冷静な判断力です。敵の狙いはどこにあり、一体何が欲しいのか。その意図は、失いたくない面子(めんつ)とは、といった事柄について全体を観ながら考察するのです。

その上で、相手の裏をかき、敵のいないところを選んで進軍し、敵の手薄なところを攻めよ。奪われてはならない重要ポイントをしっかり押さえ、その守備を堅固にし、攻められない状態にしながら守れというのが孫子の教えです。

そうして確立される必勝の境地は、微妙にして目には見えず、神秘にして耳には聞こえないのだそうです。教えの一番重要な箇所は、実戦で掴んで貰うしかないという歯がゆさがあるのだろうと拝察します。

《孫子・虚実篇その二》
「敵が必ずやって来るところで迎え撃ち、敵が思ってもいないところに打って出る。千里を行軍して疲れないのは、敵のいない土地を進軍したからだ。攻めれば必ず奪取するのは、敵が守りを固めていないところを攻めるからで、守って必ず堅固なのは、攻め難いところを守っているからである。

だから、攻撃の巧みな者に対して、敵はどう守ったらいいか分からない。防御の巧みな者に対して、敵はどう攻めたらいいか分からない。

微妙の上にも微妙にして無形に至り、神秘の上にも神秘にして無音に至る。そうして、敵の運命を司ることになるのである。」

※原文のキーワード
敵…「其」、やって来る…「趨」、迎え撃ち…「出」、思ってもいない…「不意」、打って出る…「趨」、行軍…「行」、疲れない…「不労」、敵のいない土地…「無人之地」、進軍…「行」、奪取…「取」、守りを固めていない…「不守」、堅固…「固」、攻め難いところ…「所不攻」、攻撃の巧みな者…「善攻者」、分からない…「不知」、防御の巧みな者…「善守者」、微妙…「微」、神秘…「神」、運命を司る…「司命」