その76 流れを読み取る観察眼と、それに応じて活動出来る機動力を

「水に定まった形は無い」ように、優れた戦闘集団には固定化された動きがありません。その固定化されないで動ける集団に何が必要かというと、潮の変わり目といった流れの変化を読み取る観察眼と、それに応じて活動出来る機動力です。前者を指導者が持ち、後者が組織に備われば、きっと柔軟な動きが可能となるでしょう。

その観察眼ですが、気候の変化や社会心理の推移を見たり、組織の盛衰や国家の興亡といった流れを見通したりするときに用いられます。観察眼で相手の意識の変化を読むことも重要で、今現在やる気満々なのか、気持ちが緩んできているのかといった精神状態の変化を量ります。それはまさに腹の探り合いであり、敵の狙いや意図、何が欲しいのかといった本心を的確に読みつつ、人心の変化を掴むことになります。

その際、直観や霊感、第六感といったインスピレーションが必要不可欠となります。第六感は単独の感覚というよりも、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚という五感を統合させた働きとなります。五感と無関係の第六感というものは無く、五感を綜合的に生かした上での第六感となるのです。

目で見てピンと来て犯人を逮捕。音の変化で故障を発見。臭いで賞味期限を察知。土を舌で味わってみて土壌の良し悪しを判定。製品に手で触れてみて完成度を判断、などというのが五感をベースにした第六感です。

この第六感は修練によって研ぎ澄まされていくのですが、素直な心が無い状態で、自分の都合や偏った好き嫌いの感情のまま働かせようとすると上手くいきません。私利私欲を超えるということが肝腎で、欲をかいた瞬間、大抵の第六感は曲がってしまうか曇ってしまうものす。

その点、孫子は澄んだ心で物事の本質を直覚出来る軍師でした。まさに第六感を駆使して相手の本心を読み、敵の虚を衝くことが出来た天才的軍略家だったのです。

なお、固定化されていない生き生きした組織を、水の姿からどう学んで試行するかですが、それには場面に応じたプロジェクトチームからはじめてみるといいでしょう。状況の変化に即応可能で、目的を果たしたらすぐ解散してもOKといったチームです。先に述べた正規軍とは違う特殊編成の遊撃隊も、そのチームに該当すると言えるでしょう。(続く)