その88 氣・心・力・変、戦う前に勝つための4つの基本

士氣が衰えて休みたがっている。混乱していて騒がしい。疲れ果てて腹が減っている。敵がこうした状態であれば、今こそ攻めるべきタイミングとなります。

隊列が整然としており、陣容が堂々としている。この場合は、決して正面から攻撃してはなりません。

孫子は軍争篇のまとめとして、「氣」「心」「力」「変」の4つを述べています。氣は士氣、心は心理、力は活力(体力)、変は応変です。これらのキーワードによって、戦う前に勝つための基本が示されました。

《孫子・軍争篇その五》
「朝の氣分は鋭敏だが、昼の氣分は弛惰(しだ)となり、夕方の氣分はもう帰って休みたくなる。そこで上手に兵を動かす者は、相手の鋭氣を避け、弛んで休みたくなっている状態のときに攻撃する。これが氣を治めるということである。

次に、味方をよく治めてから敵の混乱を待ち、味方をよく静めてから敵の諠譁(けんか)を待つ。これが心を治めるということである。

それから、(戦場に)近い場所にいて遠くから来る敵を待ち、安楽な状態で疲労した敵を待ち、腹一杯食べた状態で飢えた敵を待つ。これが力を治めるということである。

そして、旌旗が整然と翻っている敵を要撃することなく、堂々とした陣容の敵を攻撃することもしない。これが変を治めるということである。」

※原文のキーワード
朝の氣分…「朝氣」、鋭敏…「鋭」、昼の氣分…「昼氣」、弛惰…「惰」、夕方の氣分…「暮氣」、帰って休みたい…「帰」、上手に兵を動かす者…「善用兵者」、相手の鋭氣を避け…「避其鋭氣」、弛んで休みたくなっている状態のときに攻撃する…「撃其惰帰」、味方をよく治めてから敵の混乱を待つ…「以治待乱」、味方をよく静めてから敵の諠譁を待つ…「以静待譁」、近い場所にいて遠くから来る敵を待つ…「以近待遠」、安楽な状態で疲労した敵を待つ…「以佚待労」、腹一杯食べた状態で飢えた敵を待つ…「以飽待飢」、旌旗が整然と翻っている敵を要撃することなく…「無要正正之旗」、堂々とした陣容の敵を攻撃することもしない…「勿撃堂堂之陣」(続く)