その98 地図を読み取り、勝つためのポイントを浮かび上がらせよ!

「九変」は、臨機応変による用兵の原則です。九変には大きな効用があり、その「利益に精通する将軍」が「兵の用い方を知っている」指揮官となります。

もしも九変に精通していない場合、たとえその将軍が「地形を知っていたとしても、地の利を得ることは不可能」です。単に地形を知っているということと、地の利を得るということは違うのです。

地形を知っているというのは、地図が読めるという程度の状態です。地図をしっかり観察したら、要所がどこかを掴み、勝つために抑えるべきポイントが自ずと浮かんで来るようでなければ意味がありません。

その上で兵士を動かすことになるのですが、九変の補足として掲げられていた五原則(五利)についても、それらをただ知っているだけではどうにもなりません。「九変の術」則ち九変の運用を知らなければ、「人を用いることの体得は不可能」なのです。

さて、九変の内下記の3つは、地形を読み地の利を失わないよう諭したものです。地形を冷静に分析することによって、早く戦って勝ちたいたいという、はやる気持ちを抑えねばなりません。
・高い陵(おか)にいる敵に向かってはならない。
・丘を背にした敵を迎えてはならない。
・隔絶した敵地に留まってはならない。

また、次の2つは、敵の策略に嵌められないための警告です。
・わざと逃げる敵を追ってはならない。
・おとりの敵兵に食い付いてはならない。

そして、わざわざ敵を勢い付け、強くしてしまわないよう注意しなければなりません。母国に帰ろうとしている敵、完全包囲された敵、窮地に陥った敵、これらは腹を括って精鋭となり、猛然と立ち向かって来るかも知れない敵なのです。
・精鋭な敵を攻めてはならない。
・母国に帰ろうとしている敵を留めさせてはならない。
・敵を囲む場合は完全包囲してはならない。
・窮地に陥った敵に迫ってはならない。

臨機応変の意味には、相手の心理を読むということが含まれます。敵の心理状態は、状況毎に切り替わります。意図や狙いも変化します。それらを見抜きながら生かすのが九変の術なのです。(続く)