その100 利の中に害を思うは成功の元

何事であれ、それを通して利益のみを得るということは無く、必ずその中に何らかのマイナス面(失うもの)が潜んでいます。また、損害を被るばかりという事も案外少なく、その困難を通してプラスになる利点が伴っているものです。

そのことを孫子は「智者の思慮は、必ず利と害をまじえている」と言いました。利害を二者択一的に捉えるのではなく、利と害を多面的にまじえ、利の中に害を見、害の中に利を見よとのことです。

そうして「利に(害を)まじえれば務めはマコト(信実)となり」ます。つまり、利を得る中で害を忘れさえしなければ、為し遂げていくその務めは、きっと目指す通りになるものです。

まさに、利の中に害を思うは成功の元です。衰亡の芽は好調期に出てくるものですから、利益の多いときこそ慎重になり、潜んでいる損害を想定しつつ、先手で打つべき対策を施すよう心掛けましょう。

また「害に(利を)まじえれば心配は解くことが出来」ます。何かの被害を受けたとき、ただ単に落ち込んで終わるようではいけません。被害を最小限で食い止められるよう尽力しつつ、合わせて逆転のきっかけを掴み取るくらいの鋭氣が必要です。

クレームなどの問題は、それへの対応によってファンを増やすきっかけになるかも知れません。内部に生じた軋轢(あつれき)は、膿(うみ)を出して新規巻き返しを図るチャンスともなるでしょう。外部から襲って来た災いならば、なかなか定着し辛かった「新しいやり方」を皆に納得させ、早期に導入する良い機会に生かせるものと思われます。

そのように取り組んでいけば、きっと不安や心配が減っていくという次第です。(続く)