その103 敵が攻めて来ないことを、あてにしているようではいけない

人類の意識は、未だ武器や戦争を必要としないレベルにまで向上していません。残念ながら、21世紀の現代にあっても、防衛上の備えを怠るわけにはいかないのが現実です。

では、国防の心構えとして第一に挙げておくべきは何でしょうか。それについて孫子は、敵が攻めて来ないことをあてにしていてはいけないと教えました。頼みにすべきは、あくまでこちらの備え、則ち防衛努力にあるのであって、敵が侵略して来ないことばかり期待しているようでは脳天気にも程があると。

大事なことは「こちらに待ち構えたところの備え」があり、「こちらに攻められない態勢」がある」ということです。

その備えや態勢の中に、勿論のこと武器や防衛システムが入ります。さらに国力の充実や、国民の一体感も含まれます。戦争は、兵士だけが行うものではありません。前線での戦いは兵士が行うとしても、それを大局的に指揮するのが政治家であり、後方で支えるのが国民です。

そういう一丸となるべき綜合力を大和言葉で表せば、ミナカ・タテ・ヨコ・クミとなります。ミナカは中心、タテは中心から伸びていくもの、ヨコは個々の繋がり、クミは全体の結合を意味します。

具体的に言えば、ミナカは全軍を統括する総理大臣と防衛大臣、さらに統合幕僚長ら。タテは指揮系統に基づいた上下の意思統一。ヨコは国民の絆。そして、クミは国家全体の一体感となります。

敵側からすれば、それらが優秀で万全な国くらい攻め難く、占領し辛い相手はありません。逆に言えば、これらを孤立・離反させ、仲違いさせることによって、侵攻のチャンスを起こすことが可能になるというわけです。(続く)