No.23 かまって欲しいのか、放っておいて貰いたいのか、一体どっち?

人間は矛盾する感情を持っている

対人関係の間合いには、誰でも苦労します。たとえどんなに親しい間柄であっても、一定の距離感というものが必要になります。

人間は矛盾する感情を持っており、「ここまでは分かって欲しい」という期待や、「こうしてくれてもいいのに」という要求心を起こす反面、「ここまで入られるとうるさい」とか、「いっそ放っておいて貰いたい」という反発の感情も同時に発生させます。それが相手側に生じた場合、相対するこちら側としては「結局どうして欲しいの?」と戸惑うことになります。

この「寂しいからもっと近付いて欲しい」という心情と、「うるさいから離れて貰いたい」という心境が錯綜するところに、人間関係の難しさがあるのです。

子の親に対する感情が、そのいい例です。「もっとかまって欲しい」という要求と共に、「一々細かく言わないでくれ」という不満が入り乱れます。親としては、「一体どっちが子供の本心なんだろう」と翻弄(ほんろう)されてしまうばかりです。

相手の「現在の心境」を察する努力が大切

しかし、子にしてみればどちらも本当で、もっと近付いて欲しいと同時に、もっとそっとしておいて貰いたいのです。理由は、かまって欲しいと願うところが放っておかれ、縛らないで欲しい思うところに踏み込まれてしまうことが多いからです。つまり、往々にして「親は冷たくてうるさい」という状態に陥っているというわけです。

そうならないためには、普段から相手の「現在の心境」を察する努力というものが大切になります。相手が気付いて貰いたがっている事、認めて貰いたがっている事、反対に見ないで欲しいと思っている事、自由にさせて欲しいと願っている事などを観ようと努めるのです。

まずは日頃から、相手を察するセンサーを張っておくようにしましょう。人の心を掴むというのは、実際のところ実に骨の折れる大変な作業です。でも、意識すれば次第にそういう力が養われてくるものと思います。

勿論それは、諂い(へつらい)や阿り(おもねり)の心で、単に相手に合わせればいいと言っているのではありません。念のため。(続く)