No.34 迷ったときは原点に帰れ!

日本全体、世界全体にとってどうなのか

適位置・適量・適時のモノサシを掴んで頂けたなら、続いて手に入れて頂きたい尺度があります。それは、空間的・時間的な観方を、さらに拡げることで獲得できる価値基準です。

空間においては、より上位の尺度を持つことによって、日本全体を捉えたり、世界全体を意識したりしましょう。自分一個の損得に終わることなく地域社会の発展を、地域社会の都合だけに留まることなく国家国民の正義を、国家国民の利益のみで満足することなく世界人類の平和と繁栄をというように、さらに大きいところに立つことによって、何が正しいのかを見極めていくのです。

より大きいところに立つ必要があるのは、どうしてでしょうか。それは、部分にとっていいことであっても、全体にとっては問題ということがいろいろあるからです。安価で冷却剤や洗浄剤に手軽に使えたフロンガスがオゾン層破壊の原因となったり、建築資材として使い易かったアスベスト(石綿)が呼吸器傷害の元凶となったりしたのが、その例です。

小さいところだけ見ていたのでは、何が正しいのかが分からない

腐らないナイロン糸やビニール袋が、野生生物の生存を脅かすのも同様です。餌と釣り針が付いたままのナイロン製の釣り糸が、野鳥に啄(ついば)まれて羽に絡まれば飛べなくなります。海を漂うビニール袋を海亀がクラゲと間違えれば、飲み込んで消化管を詰まらせ、酷ければ死んでしまいます。

便利な物とは「人間の都合」という部分を優先した物のことです。小さいところだけを見ていたのでは、この部分の都合に囚われてしまい、何が正しいのかが分かり難くなります。より大きいところに意識を置くことによって、高い位置から善悪を捉え直さねばなりません。多くの識者が提唱している通り、そういうところまで文明の転換が強く求められているのです。

歴史や伝統の中に、風雪に耐え抜いた真理がある

時間においては、歴史や伝統に照らしてみましょう。歴史や伝統の中には、長い時間の風雪に耐え抜いた価値というものがあります。時代を超えた真理や、変えてはならない根本です。歴史的に大切にされてきたことや、伝統において重んじられてきたことと照らし合わせてみて、そこに流れる真理や根本から外れていなければ、まずは善であり正しいと考えていいのではないかと思います。

無論、歴史や伝統は全て正しい、だから盲目的に信じるべきだ、などと固定的なことを述べているのではありません。時代の変化も考慮に入れながら正しさを求めなければ、的外れな追究になってしまうのは勿論です。

兎に角、迷ったときは「原点に帰れ」と言います。原点は、その多くが歴史や伝統の中に潜んでいます。歴史が帝王学であると言われる所以(ゆえん)は、歴史を学ぶことによって、決断や判断の基準となる原点を、より明確に掴めるようになるところにあるのです。(続く)