No.65 民本主義は、あらゆるものが生成化育して繁栄する根本

このように歴代(れきだい)の天皇は、一心に国民の幸福を願っていて下さいます。その天皇陛下の御心(みこころ)にそむき、もしも人の上に立つ権力者(けんりょくしゃ)が、君本主義(くんぽんしゅぎ、君主を根本とするあり方)を自己中心的な意味で重んじたらどうなるでしょうか。それは力で国民を抑えようとする覇道(はどう)となりますから、たとえ一時(いっとき)は栄えたとしても、必ず滅亡(めつぼう、ほろびること)の運命に行き着くでしょう。

世の中には、しばしば社員や部下を犠牲(ぎせい、激しい負担をかけてつぶしてしまうこと)にして、自分の出世や成功を求める酷(ひど)い者がいます。それは、天皇陛下の大御心(おおみこころ)に反する行(おこな)いです。不忠(ふちゅう、忠義にはずれていること)であると言わなければなりません。

私たち一人ひとりは、どこまで天皇陛下の御心を我が心として、民本主義を実行しているでしょうか。静かに振り返るとき、反省の心がわき起こるばかりです。

また、民本主義を間違って受け止めてしまい、民が本なのだから自分が本であるとして、極めて身勝手な考え方を起こす人がいます。政治家に何でもしてもらおう、自分でできることまで役所に全部やってもらおう、などという無責任な考え方です。これも、大きな誤りであることに気づくべきでしょう。

民本主義の本質(ほんしつ、根本的な性質)は、相手を大切にするところにあります。相手の中には、上役(うわやく)も年上の人もいます。だから、必ずしも自分より下の立場の人に対する気持ちだけを指すものではありません。すなわち、相手が上役や年上であっても、自分よりも相手のことを思うところに、民本主義の意味があるのです。

大日本主義は、民本主義であり皇道(こうどう、天皇を中心にまとまる国家のあり方)です。それは自然の大道(だいどう)であり、民本主義はあらゆるものが生成化育(せいせいかいく、生まれて育つこと)して繁栄(はんえい)する根本なのです。(続く)