No73. 側近の心意気と覚悟

本物のナンバー2であることを知るための質問

【経営の原理原則・第二条】
トップの欠点を補うナンバー2に、意志強固で謙虚な人物を得ていること

そもそも側近やナンバー2は、何をする人なのでしょうか? 一言で言えば、トップと心を合わせ、「トップの志」を実務的に実現させる人のことでしょう。

その立場は、トップ以上に難しいと申せます。冷静で感情にムラが無く、意志強固であると同時に謙虚でなければナンバー2は務まりません。
自分の努力による成果であっても、称賛をトップに譲り、決して目立ってはならないのです。

従って、常にトップの気持ちを推し量り、今何を考えているのかを的確に掴んでいる必要があります。本物の側近やナンバー2であるかどうかを知りたいとき、筆者はいつも次のように質問しています。「あなたが仕える社長の志を一言で言って下さい」。これに言葉を詰まらせて答えられないときは、単なる幹部社員に過ぎないと判断します。

あるいは、「こんなとき社長なら何というか」という自問自答が出来るかどうかです。いつもトップの心を汲んでいれば、自ずとそういう思いが生じて来るはずです。

トップを好きになれるかどうか

さて、社長も人の子ですから、落ち込むときや逃げ出したいときがあります。
そういう場合、同志としての側近がいるのといないのとでは回復が大違いです。
仕事で辛いことや悲しいことが生じたとき、心を重ね合わせてくれる側近が一人いるだけで、随分救われるのがトップという立場なのです。

どんな大事業も、まず一人から起こりますが、一人のままでは前に進みません。
物事が発展するには、複数の同志による「精神エネルギー場」が生じている必要があります。一人でいるときには無かった「場の力」によって、気持ちが前向きになり、運命が切り開かれてまいります。

また、誰だって不完全なところがあります。トップにも何らかの欠点があるのが当たり前で、個性的な分、わがままで角があります。でも、並ではない熱意と馬力によって事業を起こし、トップが務まっているわけです。

取り巻きや太鼓持ちとは違う

要は、欠点を含め、無条件にトップを好きになれるかどうかです。条件によって簡単に好きになったり嫌いになったりするというのは、まだ本当に好きにはなっていない状態でしょう。

裏切られたり、余程がっかりする事があったりしたなら別ですが、人格全体を好きになるというのが、本当に人を好きになるということだと思います。
欠点もあるが、それを上回る魅力があるからこそトップに付いていく。それが側近の心意気です。

そうかといって、お世辞ばかり口にする取り巻きや、ご機嫌取りの太鼓持ちの類でいいと言っているのとは違います。いざというときは、首を覚悟で諫言する。差し違えてでも止めるべきは止める。そこに、側近やナンバー2の覚悟があります。

その諫言ですが、いくらご意見番が仕事であるとはいえ、タイミングを考えないで、いつもうるさく言ってばかりでは遠ざけられてしまいます。トップに嫌われたら何にもなりません。可愛い奴と思われなければ忠言は通らないということも、心得として覚えておきたいことです。(続く)