No.75 理念は、同志を獲得するための最高の経営資源

磨き続け、結晶化された言葉が理念

【経営の原理原則・第四条】
トップの理想に基づいた経営理念が確立されていること

会社経営には理念が必要、国家も理念がないとまとまらない、などとよく耳にします。理念が大事であることは多くの人の認めるところですが、そもそも理念とはどういうものでしょうか。聞かれて即座に答えられる人は、案外少ないと思います。

理念の「理」は、意味を表す偏(へん)の「王」と、「り」という読みを示す旁(つくり)の「里」による形声文字です。「王偏」は実は「たまへん」で、玉を磨くように筋道を整えていくのが「理」の意味です。原理や定理、理論などの熟語が、その意をよく表しています。

そして、「念」は「今の心」ですから、理念とは片時も忘れることなく磨き続けた思いが、一つの理論として結晶化された言葉のことです。何となく思ったという程度ではなく、念ずるほどに思い続けた本願(本氣の願い)なのです。

想念を信念に、信念を理念に高めよ

理念には、そこに到達するプロセスがあります。日々の仕事を通して、何かを想ったり願ったりするのは「想念」です。経営者の頭の中で、あれこれ想いを巡らせている状態です。

これが、やがて自分の信じる思いにまとまってきますと「信念」となります。
「経営のコツとはこれだ、繁栄する事業とはこういうものだ、お客様に喜ばれる基本はここにあるのだ」などという信念への進化です。

この信念自体は素晴らしいものですが、よく見ると、まだ幾らかの狭さが残っている場合がよくあります。「自分は納得した」という、個人的な気付きの段階だからです。

経営者自身は、もう何が大切か分かっているし、その納得と気付きに自信があります。でも、皆に伝えられるところまでは至っていません。もう一歩のところで留まっているのです。そこで、これをもう一段階進め、他の人たちにも通用する普遍的な原理に高める必要があります。

条件さえ同じならば、だれが用いても同じ結果になる。それが原理というものです。そういう段階に到達するよう、信念をさらに整った言葉にまとめたときに「理念」となります。

すなわち、経営者の体をくぐった言葉(信念)が、仲間を納得させるところまで磨かれていって理念が構築されるというわけです。その理念に響いて社員が集まれば、結束力の強い組織が誕生します。

同志を獲得するための最高の経営資源、それが理念というものの価値です。
中小企業で人材獲得が上手くいっているところは、必ずと言っていいほど生き生きした理念が構築されています。それをホームページで見るなどして、優秀な若者が集まってきているのです。

では次に、その大切な経営理念に盛り込みたい事柄について考察していきましょう。(続く)