No.76 経営理念に盛り込みたいこと

第一は「○○でもって」という具体的表現

経営理念に盛り込みたいこと、その第一は「○○でもって」という具体的表現です。はっきりした仕事内容や、何らかの明確な手法が書かれているほうが、理念を読んだときに分かりやすくなります。

「当社は高齢化時代に対応した、鍼灸医学による出張治療の全国展開で…」、「我が社は、米と雑穀を組み合わせた伝統食文化の再生によって…」などと表現してありますと、文章を見ただけで具体的なイメージがわいてきます。

自社の仕事とは一体何なのか。これを煮詰めれば、表現が抽象化します。経営理念も、煮詰めて進化させるほど、観念的になる傾向があります。

あるいは、いくつかの業種に仕事が跨る(またがる)場合も、それをまとめて表そうとすると、言葉が抽象化されやすくなります。警備と保険業と不動産業を兼ねている会社があるとすれば、「我が社は、お客様の生活サポート業を使命として…」などという観念的な言葉にまとめられがちです。

しかし、これでは何をする会社なのか不明です。最初はまず、明瞭且つ素朴な言葉を選んだほうがいいでしょう。いきなり抽象的な表現を取りますと、経営者だけが自己満足する「言葉遊び」に陥って、却って凝ったイメージになりかねません。

警備+保険業+不動産業ならば、「我が社は、警備・保険・不動産を三位一体で社業とし…」などと素直に書き、「お客様の生活インフラの総合支援業として…」というふうに、一束統合した言葉を続けてはどうでしょうか。

次に「育てる」と「役立つ」

次に、「育てる」ことに関わる内容が理念に欲しいです。「育てる」というのは、社員の自己啓発であることは勿論、会社という組織体の成長でもあります。さらに、経営者としての自己実現も含まれます。

それから、「役立つ」ことを意味する文言が不可欠です。お客様の役に立つことで喜ばれ、取引先などとは互恵関係が成り立ち、ひいては広く国家社会に貢献する社業であることを表現したいものです。

「育てる」と「役立つ」を、それぞれ縦軸と横軸にあてはめてみて下さい。縦軸の上に行くほど、育てる内容が高まります。横軸の右に進むほど、役立つ力が強まるのです。

そこまで整ったら、両者を満たす斜め右上に向かう線上に、「○○でもって」を入れます。そして、その線の目指す先に、お客様(ゲスト)や社員(スタッフ)の「繁栄」と「幸福」、さらに「日本の再生」や「共生文明の創造」といった大きな目的が待っているというわけです。(続く)