No.81 日本の再生には、新たな国是が不可欠

国是が明瞭な時代が、国家の成長期となる

明治以降の近現代日本史を振り返りますと、国是が明瞭な時代と成長期が重なっています。明治時代と戦後昭和時代がそれです。その成長を支えたのが、経営理念と国家理念を結んだ企業群でした(国是、国家理念、国の目標。これらは、ほぼ同義の言葉です)。

明治の国是は「文明開化」と「富国強兵」と「殖産興業」の三つでした。三井・三菱・住友・安田などの財閥は、(結果的であれ)明治の国是を担うことで成長しました。

戦後日本の国是は「焼け跡からの復興」です。「もう一度、日本の繁栄を取り戻したい」という願いで、国民が一丸となって奮闘しました。それによって戦後復興が叶い、アメリカに次ぐ世界第二の経済大国に成長したのでした。

ところが、国是が不明瞭になるにつれ、社会は活力を低下させていきます。方向性を失った戦前の昭和がそうであり、バブル崩壊以後の平成がそうでした。

これから日本が再生していくためには、新たな国是を持つことが不可欠です。将来に向かって、日本が明らかにするべき国是とは何なのか。それについて筆者は、以下の三カ条を掲げております。

世界中が徳の高い国づくりを競い合う

(1)「共生文明の創造」…共生とは共に相手を認め、互いを必要とし、生かし合う関係のことです。人と自然、国と国、東洋と西洋の共生などが、これからの文明の創造のキーワードとなるでしょう。

人間中心による自然破壊型の旧文明から自然共生文明へ、国家エゴによる覇道文明から世界共生の新文明へ、西洋中心による物質文明から東洋の英知を生かした東西共生文明へと、これから進んでいかねばなりません。そこに新しい日本の国是を重ね合わせましょう。

(2)「高徳国家の建設」…高徳とは、高い徳性のことです。日本人が本来持っていた精神である、「お互い様」という支え合いの心、「どうぞお先に」という譲り合いの心、「お陰様で」という感謝の心、「勿体(もったい)ない」という物を生かす心などを取り戻すことで、国民の意識レベルを向上させたいのです。

「徳」は人間性や品格、人間力のことでもあります。世界中が徳の高い国づくりを競い合うようになったら、どんなに素晴らしいことでしょうか。利己的な個人勝手主義では、決して幸せにはなれません。基本は教育ですが、高徳国家の建設を国是とすることで、世界のモデル国家となりたいものです。

国家理念と企業理念と結べば、きっと会社の生成発展につながる

(3)「公益経済の確立」…公益とは、みんなの利益のことです。私利の経済活動ではなく、世のため・ひとのために働くのが公益経済です。

その内容は3点あります。第一は「天本主義経済」で、天地自然の働きを生かした循環型経済です。第二は「地本主義経済」で、地産・地流(地域で流通)・地消を基本とする「地域経済生態系」重視の経済です。第三は「人本主義経済」で、人が幸せになるための互恵繁栄経済です。

「共生文明」と「高徳国家」と「公益経済」の三カ条は、明治の国是であった「文明開化」「富国強兵」「殖産興業」に比べると、聞いただけではわかりにくい言葉かも知れません。でも意味として、これら三カ条が今後の日本に必要なことは確かであると考えています。

新たに企業理念に加えるか、既にある企業理念の解釈に入れるかなどして、国是と社是、国家理念と企業理念と結んで下さい。そうすれば、きっと会社の生成発展につながると思います。(続く)