No.102 我が社にとっての陽気・陰気、そして沖気とは…

ちょっとした気遣いがあれば、沖気を発生させることが出来る

部分で対立しつつも、全体では調和している。それが自然界の実相だと思います。あらゆる物事を二元的な対立のみで捉えてしまって、全体を見忘れていたら部分観から抜け出せません。目の前の対立を超えたところに共生があるのであり、これを掴(つか)みませんと、全体観の広い世界には出られないのです。

全体を掴む際、陰気と陽気を調和させるという沖気を、どう捉えるかが肝腎となります。家族であれば、父親が陽気、母親が陰気を司ります。そして「子は鎹(かすがい)」の諺通り、子供が沖気の役割を果たすことになるでしょう。

あるいは、夫婦に共通の目標があれば、それが沖気の働きをします。二人で共に学んだり、共同の事業を興したりしていれば、その一緒の行動が絆(きずな)を深めるでしょう。

普段の会話にも、そこにちょっとした気遣いがあれば、沖気を発生させることが出来ます。感謝や労(ねぎら)い、思い遣りの一言によって沖気が生じ、人間関係は円滑になるものです。

親方は陽気、おかみさんは陰気、では沖気は誰?

陽気・陰気・沖気の説明として、相撲部屋を例に述べてみましょう。相撲部屋は大抵(たいてい)、親方とおかみさんの連係プレーで運営され、親方は陽気、おかみさんは陰気を担当します。

親方の厳しい指導に若い弟子は半べそをかきますが、それを母性で包むのがおかみさんの仕事です。「親方が厳しくするのは見込みがあるからだよ。あんたは認められたんだから、ここが踏ん張りどころと思ってがんばりなさい。負けちゃダメよ」などと慰めます。

そうして、親方が陽気、おかみさんが陰気であるのは分かるとして、相撲部屋の沖気は誰が担うのでしょうか。相撲部屋には力士の外、行司、呼出(よびだし)、床山(とこやま)と呼ばれる人たちがいます。行司は勝敗を軍配で示す主審、呼出は取組の最初に力士を呼び上げる者、床山は力士の髷(まげ)を結う人のことです。この人たちも、相撲部屋で修行しています。

ただ聞いてくれるだけで救われるという沖気の役割

力士が主役であるのに対して、床山らは脇役や裏方にあたります。競争相手ではない彼らこそ、力士たちにとって、何かと相談に乗ってもらいやすい相手ではないかと思うのです。力士同士では言い難いことでも、番付競争とは無関係である彼らなら何でも言えるでしょう。

親方やおかみさんに相談するのと違って、具体的に問題を解決してもらうことにはならないかも知れません。でも、悩みというものは、ただ聞いてくれるだけで救われることが多いものです。まさにそれが、沖気の役割というわけです。

家庭なら、子供が両親を結ぶ沖気になると述べましたが、その子供たちにしてみれば、兄弟・姉妹や叔父・叔母、従兄弟などが沖気となってくれます。両親に言えないことでも、身近な兄弟や、年の近い親戚になら話しやすいものです。

会社も同様で、厳しい社長が陽気、聞き上手な常務が陰気なら、話しやすい先輩社員が沖気になります。自分の組織にとって、陽気・陰気・沖気がよく働いているかどうか、一度よく考察してみるといいでしょう。(続く)