No.103 陰陽論とは何か

二元対立ではなく二元共生

さて、ここで「陰陽」について解説を加えておきましょう。陰陽の哲学、すなわち陰陽論とは、物事を陰と陽の二元に大別する東洋思想のことです。

この陰と陽は対極の関係にあり、陰は下に位置するもの、より静かで動かないもの、受動的なものなどを意味します。陽はその反対で、上に来るもの、より盛んで動くもの、能動的なものなどを表します。

いくつか例を挙げますと、女・月・水・地・夜・冬・寒・暗・軟・弱などが陰であり、男・日(太陽)・火・天・昼・夏・暑・明・硬・強などが陽になります。

これら二つに分類されたものは、二元対立の状態にあるわけではなく、二元共生、二極調和の関係にあります。どちらか一方を選び、もう一方を捨てるということではないのです。と言うのは、二つに見えていても実は一つにつながっており、陰陽二つで一つとなっているからです。

太陽と月・天と地・火と水も、二つで一つ

例えば、男女で人間という一つの生物になり、昼夜で一日という時間になります。寒暑で温度になり、明暗で照度になるのも同じことです。

例に挙げた中にある日と月ですが、日月は太陽と月のことだから、そもそも別物ではいかという指摘が出るかも知れません。でも「大きく輝く星」という括(くく)りで一つになっています。太陽が能動的に自ら輝き、その光を月が受動的に受けることでも一体となっています。

古代人は、太陽と月には不可分の関係があると見ていたのです。昔の暦が、太陽と月の運行の組み合わせで成り立っていたことからも、そのことがよく分かります(太陰太陽暦)。

天地も、天空と大地は別物と考えられてしまいそうですが、天地でもって一つの地球環境を形成しているのだから一体です。天と地は、お互い影響し合って世界を成り立たせているのであり、決して別個の存在ではないのです。

また、火と水も二つで一つです。燃える火は陽ですが、陰の水で消すことが出来ます。火に水をかければ、温度を下げることになって消火されるのです。燃焼で温度を上げる火と、冷却効果で温度を下げる水の関係を、一体のものとして捉えたというわけです。(続く)