No.107 足りないところを、長所や魅力に転換させる働き

自分の欠点を素直に認めることも重要

周囲を笑顔に変えてしまう沖気は、どこか抜けたところからくる愛嬌によっても生じます。とぼけた感じが回りを和ませる雰囲気を醸し出し、「こんなしっかりした人にも、ボケッとしたところや、足りないところがあるんだ」と、相手に安心感を与えます。

本来は欠点なのに、それがあることで親しみやすさが生まれる。短所が長所に変わり、「この人には私が付いていてあげなくては…」とまで思わせてしまう。そういう欠点を魅力に転換させる働きも、沖気のなせる効用の一つと言えるでしょう。

誰でも人に見られたくない欠点を持っています。それを無理矢理隠しているだけでは、成長が止まってしまいます。自分の欠点を素直に認めることも重要であり、足りないところを長所や魅力に生かしてやろうというくらいの、発想の転換が欲しいものです。

ただし、単なる“自虐ネタ”で笑いを取るようなやり方とは異なりますから注意して下さい。短所を自虐ネタにしたところで、その多くが一時(いっとき)のウケで終わります。何事も自然体でなければ長続きしないものです。

「沖気(ちゅうき)」の字源

「沖気(ちゅうき)」の字源についても説明しておきます。「沖」は「さんずい」と「中」が組み合わさった形声文字です。さんずいは水で「水が湧くこと」を意味し、中は「ちゅう」という読み(発音)を表します。

その湧き出る水は、新しくて新鮮であり、新しければ幼くもあります。それで「沖」の略字である「冲」に、「幼い」という意味が付いたのではないかと思われます。

そして幼ければ、まだ何も混ざっていないのですから、純粋で偏らず、虚しく、うつろな状態となります。そこから、陰気と陽気を調和させる沖気が生じるのです。それ自体は幼くて力が小さくとも、対立している二者を和らげ整えていく触媒的な働きがあるのです。

なお、「冲」は「沖」の略字だと述べましたが、沖気の「沖」を「冲」としている解説本も多くあります。「沖気」と「冲気」。意味は同じであり、どちらも「虚しい気」を表しています。(続く)