No.110 聞き上手3カ条

誰もが聞いてくれる相手を捜している

水の浸透力は、一体どこから来るのでしょうか。それは、敢えて競わず、無理して争わない性質から来るのだと思います。わざわざ敵を作って、それを凌(しの)ごうとするのではなく、自然に相手に浸透していき、いつの間にか味方にしてしまうのが水の性質の一つです。

「形の無いものは、隙間の無いところに入っていく」とありますが、まさにそれが水の働きです。水には「こうでなければならない」という拘(こだわ)りがありません。相手がどのような形をしていようが関係ないのです。隙間が無さそうな細かいところまで、難なくすいすいと入っていくのですから。

また、水は壁を作ったり、ガードを固めたりしません。これらのことを人間関係に置き換えれば、素直に相手を受け入れたり、相手の核心に入ったりする姿勢となります。器量の狭い拘りや、囚(とら)われがないのです。

そのときに大切になるのが、聞き上手であるかどうかということです。話し上手は聞き上手といわれている通り、会話の基本は、相手の発言をよく聞くことにあります。人は、よく聞いて貰えたら、分かってくれた、認めてくれたという気持ちになるものです。

ところが、自分の言いたいことをじっくり聞いてくれる相手は滅多にいません。人と話せば、いつもケンカ腰の議論となってしまい後味が悪い。かといって一人でつぶやくわけにもいかない。結局「誰も自分のことを分かってない」と、多くの人が淋しい思いをしています。

「話し合いは、実は聞き合い」

「話し合いは、実は聞き合いである」と、ある人が教えてくれました。よく話し、よく聞くという関係です。幕末の志士たちも一流になるほど、弁論が巧みであると同時に聞き上手でした。そうでなければ、多くの仲間を集めることは不可能だったはずです。

筆者は以前から、聞き上手3カ条なるものを示してきました。その第一は「目線上手」です。相手の目をしっかり見て、じっくり話を聞くのです(ただし睨(にら)まないこと)。相手が喋るときに目をそらしてしまう人は、気持ちがそれています。それでは真の会話になりません。

第二は「頷(うなづ)き上手」です。「ふむ、ふむ」「はい、はい」「ほおう、なるほど」などと、頷きながら合いの手を上手く入れましょう。

第三は「質問上手」です。相手の持ち味を的確に引き出せるよう質問できたら、相手は益々情熱的に話してくれるようになります。

今日は気持ちよく話すことが出来て嬉しかった。とことん聞いて貰えて、とてもスッキリした。あなたは私の心をグッと掴んでくれる人だ。そのように感じさせる聞き上手な人が、水の浸透力を持った人物ということになるのでしょう。(続く)