No.116 迷っていいのは決めるまで、決めたら前に進むのみ

既得権益を失うまいとする旧体制の住人とは

社会機構が複雑化した現代にあっても、組織や体制に制度疲労というエージングがあることに変わりはありません。ある段階で行き詰まりを迎えた国家は、「旧体制の解体破壊」→「新体制の建設準備」→「新しい社会秩序の諸制度確立」の順序で変革期が進むことを述べました。既に虫食いだらけの古屋を立て替えるのだから、その変革は一度旧体制を壊した上で行われる、根本的なものでなければ役に立ちません。

解体破壊と建設準備と基礎工事。この3ステップは、早い段階ほど思い切って進めねばなりません。解体破壊は勢いよく、建設準備はテキパキと、諸制度の確立は着実にこなしていくべきです。

古屋を食い荒らしてきた虫とは何か。率直に言えば、既得権益にしがみついている者と、それを擁護してきた志の低い政治家や自己本位な官僚のことです。彼らこそ旧体制の住人であり、既得権益を失うまいとして変革を恐れてきた連中です。

虫たちは詳細な情報を握っていますから、かなり手強い存在です。既に虫食いだらけの古屋を延命させたところで、単に問題が先送りされるだけなのですが、正当な主張が通じる相手ではないのが普通です。そして身を守るためには、あらゆる手段を講じてきます。

始まったら一気呵成にやれ!

改革における問題は、常に人にあります。改革を「誰がやるか」です。「言うは易く、行うは難し」と言います。いくら理想的なビジョンを構想し、次の時代に必要な政策を提言しても、それを実行する人物群が育っていなければ、あらゆるアイデアは絵に描いた餅で終わります。本格的に改革をやろうとするなら、まずそれを担う人づくりから着手しなければならないというわけです。

そして、改革はだらだらやるようでは困ります。何事も長くやり過ぎると、しがらみだらけになって、次第に身動きが取れなくなり、何も出来なくなってしまいます。改革者を志していたはずが、気が付けば根回しが巧みな調整役に萎(しぼ)んでいた、などということがよくあるものです。

開始までの準備は十分に、解体破壊が始まったら守旧派に付け入る隙を与えぬよう、一気呵成に建設準備まで進行する。それが心得となります。

また、トップがブレないことも肝腎です。孤独感と責任の重圧から心細くなる気持ちは分かりますが、迷ったり臆病になったりしていてはなりません。

迷っていいのは決めるまで、決めたら前に進むのみ。頑迷固陋にならないよう注意しつつも、トップが意志強固でないと部下は付いてきません。政治家ならばその性格によって、また政策内容によって違うものの、思い切り改革に集中したら、さっと身を引くという覚悟も必要でしょう。(続く)