No.120 今出来ることをやっていけば、道は必ず開ける

強欲とならないで足を知ることが重要

元々、地位や名誉は、努力のプロセスや貢献の結果として、天から与えられるものに過ぎません。これに過度に執着し、目的化させてしまうと、何かと無理が多くなるものです。

あまりにも肩書きや名声を欲しがると、生き方が表面的になって、いつも世間の評判を気にするようになります。そして、ストレスが溜まっていって、身体を悪くすることにもなります。

また、沢山財貨を貯め込みますと、どうしても世間の嫉妬を買い、金持ちを狙う泥棒から標的にされることになります。結局、多く持っている分、大きく損してしまいます。「だから、甚だ(名誉に)執着すれば、必ず大いに(身体を)失うことになり、多く(財貨を)貯め込めば、必ず大きく損することになる」というわけです。

そうならないためには、強欲とならないで足を知ることが重要です。焦らないで、今の力量に合った位置に止まることも肝腎です。そうすれば恥を受けないし、危険なこともありません。そして、末永く安泰でいられます。

仕事量よりも報酬の方が少ないと思えるくらいで丁度いい

ただし、勘違いしてはいけません。この「足るを知れば恥を受けることがないし、止(とど)まることを知れば危険なことはない。それでもって長く安泰でいられるのだ」という老子の言葉は、決して諦めの教えではないということです。

そうではなく、ぱっと世に出て、あっけなく消え、一気に儲けて、たちまち破産するような、腰の定まらない人生に対して注意しているのです。浮つかず、もっと重心を下げた人生であれと。

具体的には、等身大の自分を知って地位の高下に拘泥せず、将来ビジョンを暖めつつも、今出来ることに一所懸命になればいいと思います。つまみ食いのように、あれこれ手を出すのではなく、志に向かって今出来ることをやっていけば道は必ず開けるものです。

また、手にする財貨よりも、自分の働きのほうを多くするよう常に意識してみたらどうでしょう。「仕事量よりも報酬の方が少ないな」と思えるくらいで、実は丁度いいバランスになるものです。そうすれば“働きの預金”が、徳として貯まっていきます。

反対に、これは頂き過ぎだなと感じたら、余剰のお金や、身に付けた知識や知恵を、どんどん社会に還元して下さい。そうすれば“貢献の預金”が、徳として増えていくはずです。(続く)