No.124 外交は防衛の最前線

◇一番の脅威は膨張する中国に移行◇

大東亜戦争後、(極論を言えば)日本の外交はアメリカ追随で事足りました。西側諸国の盟主であるアメリカに、ただひたすら付いて行けばよかったのです。

脅威となる相手国(仮想敵国)はソ連のみ。日米同盟を基本に、北への備えを固めておけば十分という時代があったのです(筆者の若い頃です)。もしもソ連に攻められるとしたら、まず北海道に侵攻してくる。いや新潟あたりに上陸するかも知れない、などという予想もありました。

ソ連がロシアになって久しい今、北への備えを忘れていいわけではありませんが、一番の脅威は膨張する中国に移行しました。経済成長を迎える前の中国には、海洋進出する力が無く、その防衛ラインは中国大陸に沿っていました。

日本にとって近くて遠い国であり、中国への備えは基本的に不要だったのです。しかし、中国が海洋大国への道を着実に歩んでいる現在、九州から南西諸島に到るラインを守ることが、我が国防衛の最前線となりました。

◇外交がだらしなければ、攻め易い国、占領し易い国と判断されてしまう◇

そうなりますと、かつてのアメリカ追随で事足りた、「安易な外交」のツケが回って来ることになります。中国が脅威になる以前なら、アメリカの意向を察する以外に、外交において留意すべき点が無かったのです。

国家同士の戦いは、既に外交から始まっています。外交は弾が飛ぶ前の戦争であり、国家の誇りと国益、さらに存亡を賭けて行われるものです。外交がだらしなければ、攻め易い国、占領し易い国と判断されてしまうでしょう。

しかも外交は、日本とA国、日本とB国というように、一対一の関係だけ作っておけば済むというものではありません。複数の国を、同時進行で相手にしなければなりません。「夷を以て夷を制す」の教えの通り、A国を動かしてB国を抑え、C国を使ってD国を助けるといったことを画策するのが外交の基本なのです。

老子は「安易な事が多いと、必ず困難が多くなってくる」と語りました。
アメリカがソ連など東側諸国をしっかり抑え、中国に経済力や武力が乏しかった時代の“安楽な外交”が一転し、自立力の確立が急務となったのです。
外交は防衛の最前線。その自覚を長年に渡って忘れていた結果、今日の困難がもたらされたというわけです。(続く)